手続きの基本(期間・費用・流れ)
はじめて帰化申請を検討する方が最初に知っておきたい、期間・費用・進め方の基礎知識です。
Q帰化申請にはどの位の期間と費用が掛かるの?
フルタイムで働きながら集中的に準備を進めた場合、申請可能となるまでの準備期間は平均約3ヶ月です。法務局への申請受付から許可・不許可の結果通知までは、1年〜1年半が平均的な目安となります。
入国管理局への申請のような収入印紙の購入や、国籍取得自体にかかる法務局への手数料は不要です。ただし、母国や日本国内での書類取得費用・翻訳費用、行政書士への依頼費用などは別途発生します。
Q一番早く日本国籍を取得する方法はありますか?
帰化申請を専門とし実績豊富な行政書士事務所にサポートを依頼することで、申請受付までの期間を半分以下に短縮できるケースがあります。専門の行政書士は法務局への確認事項に精通しており、日頃の関わりから一定の信用も得ています。
最低でも2回は訪問が必要な一部の法務局を除き、例えば予約が5ヶ月先でも初回予約日に受付をしてもらえることが多く、申請人ご本人は「受付日」と「面接日」の合計2回の来訪で完了することが一般的です。
Q帰化申請専門の行政書士に対応してもらえるのですか?
帰化申請・日本国籍取得のサポートに特化した専門事務所であれば、経験豊富な行政書士が最初から最後まで直接対応します。専門家に依頼する主なメリットは次の3点です。
- 法務局へ足を運ぶ回数を「受付日」「面接日」の最短2回に抑えられる
- 本国からの出生証明書・親族関係証明書などの収集や翻訳を任せられる
- 交通違反歴・離婚歴・別居中などのマイナス要因があっても、許可実例をもとに理由書・動機書を的確に作成できる
Q特別永住者は帰化しやすいのでしょうか?
Q在留期間が「9年」ですが、あと半年待たずに今から書類準備を始めても大丈夫ですか?
はい、決して早すぎることはありません。むしろ半年後の申請に向けてすぐに準備を始めるべきです。理由は、法務局が完全予約制であり、混雑する首都圏では予約が6ヶ月以上先になることも珍しくないためです(地方都市でも1〜3ヶ月先が一般的)。
書類の準備期間(本国からの取り寄せ、日本国内での証明書集め、申請書作成など)は、スムーズに動けても平均2〜3ヶ月かかります。「書類準備(2〜3ヶ月)」+「法務局の予約待ち(数ヶ月)」を逆算すると、半年前からの準備開始はごく一般的です。
Q2026年4月のルールでは、在留何年で帰化申請できますか?
これまでは引き続き5年間の在留があれば住所要件を満たす運用でしたが、2026年4月以降は10年間の在留が必要となりました。留学生や企業内転勤であった時期も含め、10年間の継続した在留期間を要するため、申請時点で最低でも9年半以上の在留合計期間があることが目安になります。
なお、日本人と婚姻している場合の簡易帰化(国籍法7条前段:引き続き3年以上の住所・居所を要件とする規定)については大きな運用変更はないと見込まれますが、今回の厳格化に伴い実態を伴う婚姻期間3年間が求められる可能性があります。
素行要件(交通違反・犯罪歴)
帰化審査で必ず確認される「素行条件」。交通違反や過去の非行がどこまで影響するかをまとめました。
Q過去に交通違反(スピード違反や駐車違反など)があります。最後の違反からどれくらいの経過期間があれば帰化申請できますか?
Q交通違反の許容範囲はどこまでですか?
目安として、過去5年間に軽微な交通違反(スピード違反・駐車違反など)が3〜4回以上ある場合は審査で注意される傾向があります。飲酒運転や免許停止などの重い違反がある場合、あるいは申請後に発生した交通違反を法務局へ報告しなかった場合は、さらに厳しく審査されます。
Q帰化申請後の交通違反はバレませんか?
帰化申請の受付時点で、過去5年間の違反歴を証明する「運転記録証明書」を提出しており、その際に交通違反等の取り締まりを受けた場合の自己申告義務についても説明を受けます。受付時点で違反歴が3回以上と多い場合、面接で最新の運転記録証明書(過去5年分)の提出を求められることもあります。
申告していない新たな交通違反が明らかになった場合は、なぜ直ちに報告しなかったのかを厳しく追及されます。免許停止以上の重い処分を受けて未報告のままでいると、処分から約1〜2ヶ月ほどで法務局から帰化不許可の連絡が入るケースもあります。「報告なくして帰化許可なし」と心得ておくべきでしょう。
Q未成年のとき日本で万引きをして補導されました。帰化に影響しますか?
犯罪歴は法務局が慎重に審査する項目であり、特に日本国内での犯罪歴は重要視されます。被害者がいる犯罪では、刑期を終えて一定期間が経過してもなお条件を満たさないと判断されることがあります。
未成年時の万引き等については、内容・回数・反省の度合いと当時の年齢、その後の更生の様子などから個別に総合判断されます。これまでの実務では、いわゆる万引きは大きな問題とされず、許可となった事例が複数存在しています。
生計要件(収入・税金・年金)
「日本の経済的負担とならないこと」を示す生計要件は、多くの方が不安に感じるポイントです。
Q年収が低くても帰化できますか?
年収は一時点の評価だけでなく、長期的な観点から審査されます。育休中や傷病手当金の受給だけをもって不許可になることはありません。重要なのは、現在どのような会社でどんな業務に就き、どのような実績・評価を得て、その結果としての所得がどの程度かという点です。
年収が低い場合は口頭説明だけに頼らず、就労実績に基づく稼得能力を示すことが重要です。説明どおりに推移していることを、少なくとも1年間の実績で示せるよう準備すると良いでしょう。
Q都営住宅に入居していると不許可になりますか?
帰化申請の生計条件は、日本の経済的負担とならず、将来にわたり安定した暮らしを送れる程度の定職・所得・財産を有していることを求めるものです。都営住宅に入居していること自体をもって、生計条件を満たしていないとは判断されません。あくまで総合判断の一材料であり、年収が所得基準を下回る世帯でも家族全員が帰化許可となった事例があります。
ただし、入居条件をクリアするために本来より低い偽りの年間給与を用いていたことが発覚した場合は、素行条件を満たさないとして不許可となります。
Q生活保護受給者は帰化申請できますか?
生活保護は資産・能力等あらゆるものを活用してもなお必要な生活費を得られない方への保護であり、言い方を変えれば帰化の生計条件を満たさない方への給付といえます。そのため、帰化申請前から引き続き生活保護を受給している場合や、申請後に新たに受給を開始した場合は、帰化申請は不許可となります。
Q国民年金の免除申請をしていますが問題になりますか?
帰化の生計条件では、一部の簡易帰化を除き、国から経済的援助を受ける等、国に負担をかけない方に限り許可するとされています。免除・猶予制度は収入が少なく納付が困難な方向けの制度であるため、生計条件の審査では満たしていないと判断されます。
対策としては、免除期間中の保険料(1年分で約20万円が目安)を支払う、または免除申請を止めて通常の納付を再開することが考えられます。免除・未納期間が数ヶ月と短い場合、法務局から「支払ってしまった方が良い」と助言されることもあり、その場合は速やかな全額支払いが推奨されます。なお、学生納付特例は不許可理由にはなりません。
Qコロナの特例貸付(緊急小口資金や総合支援資金など)を利用中ですが帰化申請はできますか?
Q副業の確定申告をしていませんでした。今から修正申告すれば帰化できますか?
Q転職すると帰化申請に影響しますか?申請中に転職はできますか?
生計要件は長期的な観点で審査されるため、転職自体が否定されるわけではありません。ただし、周囲との調和が取れない、飽きやすい、スキルが低い、我慢強さがない、職を失う可能性が高いといった評価につながる転職はマイナスに働くことがあります。一方で、スキルアップ・キャリアアップ・年収アップにつながる転職は悪影響を与えないため、面接でしっかり説明することが重要です。
一般的に年収が下がる転職は慎重な審査対象となりやすく注意が必要です。また就労系の在留資格の方は、転職による未就労期間を作らないことが重要で、3ヶ月以上の未就労は在留資格の取消事由に該当するため、年金保険料の支払い遅れなどと合わせて回避すべきポイントです。
身分関係(婚姻・離婚・パートナーシップ)
配偶者との関係性や離婚歴、パートナーシップ制度の扱いなど、身分関係にまつわる質問です。
Q夫婦一緒に申請しないとダメですか?
従来は世帯単位で帰化の許否を決定し、夫婦が違う国籍になることは好ましくないとして一方のみの帰化は原則認めない運用でした。しかし1962年の通達により、要件を具備し世帯の融和等に支障がなければ、世帯の一部の者についても帰化を許可することが示されました。
現時点ではこの考え方は時流に沿わず、夫婦の一方のみの帰化申請についても要件を具備していれば受け付けられ、多くの方が審査を経て日本国籍を取得しています。
Q過去に離婚歴がある場合、元配偶者の書類や情報も必要になりますか?
元配偶者自身の「書類(証明書)」や詳細な個人情報は原則不要ですが、婚姻日・離婚日、元配偶者の氏名・国籍・生年月日、その間に生まれた子どもの情報といった「事実関係」は申告が必要です。元配偶者の現在の住民票や収入証明書といった個人書類を用意する必要はありません。
元配偶者と連絡が取れない場合でも、戸籍や本国の登録等で確認できる範囲の事実が分かれば手続きを進めることは可能です。
Q日本人の配偶者と別居中(または離婚調停中)ですが、簡易帰化の条件は使えますか?
原則として、別居や離婚調停中の場合は簡易帰化の緩和要件を満たさないと判断される可能性が高く、審査は非常に厳しくなります。簡易帰化は法律上の婚姻手続きだけでなく「婚姻の実態(共同生活)」が大前提となるためです。
一時的な夫婦喧嘩による短期の別居ではなく、実態を伴わない長期の別居や離婚を前提とした別居は、簡易帰化の前提が崩れているとみなされます。申請受理後に別居や離婚調停が始まった場合は速やかに法務局へ報告が必要で、不許可処分となるか、事態が収まるまで許可が見込めない旨を告げられ取下げを打診されるのが一般的です。
Qパートナーシップ制度(同性パートナー)は帰化審査にどう影響しますか?
Q韓国籍ですが、帰化したら日本名(日本の名前)にできますか?
Q現在使っている「通称名(通名)」は、帰化したらどうなりますか?
申請中のライフイベント(妊娠・引っ越し・海外渡航)
審査期間は1年〜1年半と長期に及ぶため、その間の生活の変化への対応も重要です。
Q帰化申請中に妊娠・出産した場合、手続きはどうなりますか?
妊娠・出産は身分関係に関わる重要な変更にあたるため、法務局への報告義務があります。目安として妊娠85日(約4ヶ月)以降の安定期に入った段階で「妊娠した旨」を、出産後は速やかに「出産した旨」を報告します。
報告後は、出生届出済証明書やお子様を含む住民票(世帯全員)の取得・提出、国籍に応じて母国側の出生登録に関する書類の追加提出を求められることが一般的です。妊娠・出産そのものが不許可理由になることは原則ありませんが、休職による収入変化(生計要件への影響)には事前の対策が必要です。
Q申請中に引っ越し(住所変更)が決まった場合、審査する法務局は変わりますか?
帰化申請は原則として住民票のある住所を管轄する法務局で行うため、引っ越しのタイミング(フェーズ)によって対応が異なります。
- 申請前(予約段階):引っ越し先の管轄法務局でイチから予約を取り直す
- 申請後〜面接前:引っ越し先へ引き継がれることが多いがケースバイケース。面接直前は現法務局のまま進むことも
- 面接後:管轄は変わらず、そのまま現在の法務局で審査が継続
引っ越し自体が不許可理由になることはありませんが、引き継ぎ(移管)が発生すると審査期間が数ヶ月延びるリスクがあります。決まり次第、速やかに担当法務局へ報告してください。
Q帰化申請中に海外旅行や1ヶ月以上の長期出張に行っても問題ありませんか?
渡航自体は禁止されていませんが、出国前に「渡航先」「目的」「出入国予定日」を法務局へ事前申告する必要があります。無断出国は素行要件・誠実性の面で重大な悪影響を及ぼします。
1ヶ月以上の長期渡航や頻繁な出入国は、審査が一時的にストップし結果が数ヶ月遅れる原因になります。さらに、連続90日以上の出国または年間合計150日以上の出国があると居住実態が途切れたとみなされ、最悪の場合は不許可や取下げ打診につながります。帰国後は法務局へ連絡し、出入国スタンプや航空券の控えなどの追加資料提出が一般的に求められます。
母国書類・国籍関連の実務
出身国によって求められる書類や取得方法は大きく異なります。実務上のつまずきやすいポイントです。
Q両親が事実婚の場合、父の認定はどうしますか?
通常、父母の婚姻証明書が提出できないため父子認定ができません。上申書・申請人の出生証明書・申述書だけでは不十分で、父の独身証明書に加え、出生証明書に父母両方の記載がある場合は認知の可能性を確認するため、父から申請人を認知したことが分かる書類(母国の出生登録簿など)が必要です。出生証明書に父母の登録がある場合は、本当に未入籍だったのかの再確認も必要になります。
Q中国の母国書類を取得するときの注意点はありますか?
中国の親族関係公証書は、書類下部に「誰を主体とするか」を示す一文があり、申請人目線(主体)で書かれている必要があります(例:申請人は父・母の子であり弟の兄である、という記載)。まれに親目線や他の兄弟目線で書かれていることがあるため注意が必要です。
これは、公証書を誰が申請者として請求したかによって変わると考えられます。申請人本人が直接申請、または親族が申請人の代理人として申請した場合は問題ありませんが、親族が自己の名で自身を対象者として申請した場合は要注意です。中国にいる家族が代わりに収集してくれる場合、この点を必ず確認してください。
Q親や兄弟が帰化に反対しており母国の書類集めに協力してくれません。諦めるしかないですか?
諦める必要はありません。成人している場合、家族の反対そのものが審査に悪影響を及ぼすことはなく、あくまで問題は「必要書類をどう集めるか」という実務面です。協力が得られない場合は次のような方法があります。
- 在日大使館・領事館や本国の役所へご自身で直接請求する
- 親・兄弟以外の親族や本国の信頼できる知人に委任状を送って代行してもらう
- 本国の弁護士・公証人や、日本の帰化専門行政書士のネットワークを通じて現地調達を検討する
親族関係を証明する書類は、1箇所の不備や記載漏れでも法務局に受理されないため、家族の協力なしで集める場合は内容チェックのハードルが高くなる点に注意が必要です。
Q韓国籍の帰化面接では何を聞かれますか?
日本語能力
国籍法に明文の規定はありませんが、審査実務では重要な項目とされています。
Q日本語が苦手でも帰化できますか?
日本語能力について国籍法に明文の規定はありませんが、審査実務では非常に重要な項目とされており、多くの方が読み書きの勉強をして試験に備えています。留学時代に読み書きを学んでも、その後PC作業が中心となり漢字を手書きする機会が減り、忘れてしまっているケースも見られます。
資格としてN2以上を求める流れがありますが、明確に必須と示されているわけではありません。年2回程度実施される日本語能力試験でN2までは合格しておくことが望ましいでしょう。
Q日本語試験の合格点は?所要時間はどのくらいですか?
面接時に行われる日本語試験は、原則80%以上できていればOKとされ、試験時間は20分程度です。法務局によっては口頭で出題し書かせて答えさせる形式もあります。カタカナ・ひらがなを完璧に読み書きでき、聞き取った言葉をひらがな・カタカナ・簡単な漢字で書き起こせる力が必要です。目安としては『N2』程度です。
不許可・再申請
万が一不許可となった場合でも、原因を正しく分析すれば再申請での許可は十分に可能です。
Q帰化申請が不許可になる主な理由は何ですか?
不許可の理由は多岐にわたりますが、主に「素行要件」「生計要件」「虚偽申告」の3つに起因することがほとんどです。法務局から具体的な理由が書面で示されることはありませんが、代表的な原因は次の通りです。
- 税金・国民年金・厚生年金の未納や遅延(特に申請中・直近の未納や免除は厳しく審査される)
- 交通違反や犯罪歴が多い、または申請後の交通違反を報告しなかった
- 収入に対して借入(カードローン・リボ払い等)が多い、生活保護を受給している
- 1回の出国で90日以上、または年間合計150日以上の出国による居住要件の不備
- 離婚歴・身分関係・交通違反歴・副業所得などを隠した虚偽申告が発覚した場合
Q帰化申請が不許可となった場合、再申請できますか?
不許可になった場合でも再申請は可能です。ただし、不許可理由を法務局が教えてくれないため、まずは提出資料の見直しや面接での質疑応答を振り返るなどして原因を特定し、その点をクリアしてから再申請の計画を立てる必要があります。原因の把握が不十分なまま再申請しても結果は変わりにくいでしょう。
不許可理由の特定は容易ではないため、少なくとも300名程度の帰化申請サポート実績を持つ行政書士事務所へ相談することも有効な手段です。一般的には、不許可通知から1年間は期間を空けなければ再申請の許可は見込めないとされています。
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