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台湾人の帰化と国籍喪失手続き|「中華民国国籍喪失許可証書」の取得タイミングと注意点

【目次】この記事でわかること

台湾籍(中華民国国籍)の方が日本への帰化申請を行う際、他国籍の方とは異なる「台湾特有の非常に重要なステップ」が存在します。それが台湾籍の喪失手続きです。日本の国籍法では二重国籍が認められていないため、帰化が許可される一歩手前の段階で、台湾籍を抜ける手続きをしなければなりません。しかし、この手続きは「いつ、どのタイミングで行うか」を間違えると、最悪の場合、どこの国籍も持たない「無国籍状態」になってしまうリスクがあります。本記事では、実際の台湾内政部(日本の総務省・法務省に相当)から発行される通知書や、法務局から求められる追加書類のリアルな実例を交えながら、台湾人の帰化における国籍喪失手続きの流れと注意点を専門行政書士が分かりやすく解説します。

台湾籍(中華民国国籍)の喪失手続きとは何か?

日本の国籍法第515号には、帰化の条件として「国籍を有しないか、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと(喪失条件)」が定められています。

台湾籍の方の場合、日本と台湾の二重国籍を持つことはできないため、日本国籍を取得するプロセスの中で、必ず現在の台湾(中華民国)国籍を離脱(喪失)しなければなりません。

法務局の指示を待たずに勝手に手続きしてはいけない理由(タイミングの重要性)

台湾籍の帰化申請で最も重要、かつ絶対にやってはいけないことは、「法務局から指示がある前に、独断で台湾籍の喪失手続きを進めてしまうこと」です。

台湾籍の喪失手続きを行うと、当然ですが台湾籍ではなくなります。もし法務局の審査が終わっていない段階(あるいは不許可になる可能性がある段階)で勝手に台湾籍を抜けてしまうと、「台湾籍は失ったが、日本国籍もまだもらえていない」という完全な無国籍状態になってしまいます。

実務上、法務局の審査が進み、最終的な許可の見込みが立った段階(審査のかなり後半)で、担当官から「それでは台湾籍の喪失手続きを進めてください」と正式に指示があります。必ずこの指示を待ってから動き出すのが鉄則です。

台湾籍喪失手続きの具体的な流れと申請先

法務局から「国籍喪失の手続きを進めてください」と指示が出た後の、具体的なステップは以下の通りです。

・【ステップ1法務局から「台湾籍喪失手続き」の指示を受ける

・【ステップ2】台北駐日経済文化代表処で「国籍喪失」を申請

・【ステップ3】台湾内政部より「中華民国国籍喪失許可証書」が発行される

・【ステップ4】日本の法務局へ「国籍喪失許可証書(和訳付き)」と「護照(パスポート)」を提出

・【ステップ5】官報に告示され、日本への帰化が正式に許可!

台北駐日経済文化代表処での申請手続きと必要書類

法務局の指示を受けたら、まずは日本の窓口である「台北駐日経済文化代表処」(東京、大阪、福岡など)へ行き、国籍喪失の申請を行います。

主な必要書類は以下の通りです(個人の状況により異なる場合があります)。

・国籍喪失申請書

・台湾のパスポート(護照)

・台湾の戸籍謄本(現在のもの)

・日本の法務局から交付された「国籍離脱等への注意について」という書面

・写真など

「国籍離脱等への注意について」という書面とは?

帰化申請中、法務局から国籍離脱の案内をされる際に手渡される注意喚起の文書です。「これから現在の国籍を離脱するため、一時的に無国籍状態になるリスクがあること」や、「国籍離脱後、帰化が正式に許可されるまでの間に住所や婚姻関係、仕事、交通違反などの変更があった場合は、ただちに法務局へ連絡すること」が義務付けられている旨が記載されています。

台北駐日経済文化代表処での実務ノウハウ

台湾人の帰化申請では、最終段階で台湾籍喪失手続が必要になります。この手続きは日本にある「台北駐日経済文化代表処(TECO)」で行います。日本と台湾には正式な国交がないため、大使館や領事館ではなく代表処が窓口となっています。

住所によって管轄の代表処が決まる

台湾籍喪失申請は、どの代表処でも自由に申請できるわけではありません。申請者の住民票所在地によって管轄が決まっており、主な窓口として次のような代表処・弁事処があります。

・東京(白金台)・横浜・大阪・福岡・那覇・札幌

管轄外の窓口では受理されない場合もあるため、事前確認が必要です。

帰化申請では「法務局の指示後」に手続を開始する

台湾籍喪失手続は、帰化申請と同時に行うものではありません。一般的には、

  1. 法務局へ帰化申請 > 2. 面接・審査 > 3. 法務局から「台湾籍喪失手続をしてください」と連絡 > 4. 代表処で国籍喪失申請 > 5. 喪失国籍許可証書を法務局へ提出 > 6. 帰化許可

という流れになります。そのため、法務局から指示が出る前に台湾籍喪失申請を進めるべきではありません。

予約方法や混雑状況は窓口ごとに異なる

代表処の運用は時期によって変わるため、必ず最新情報を確認してください。実務上は、「午前中の領事業務窓口が比較的混雑しやすい」「長期休暇(旧正月前後・夏季休暇前後)は手続件数が増える」「書類不備があると再来館になる」といった傾向があります。東京代表処の領事部受付時間は平日午前・午後に設定されています。

書類準備で注意したいポイント

台湾籍喪失申請では、台湾戸籍関係書類、日本の住民票、帰化関係書類、写真、パスポートなど複数の書類が必要になります。特に台湾側で取得した書類は発行日や記載内容に細かなルールがあるため、法務局から国籍喪失手続の案内を受けた段階で、代表処へ必要書類を確認することをおすすめします。

行政書士からのアドバイス

実際には、帰化申請そのものよりも、「どの代表処が管轄なのか分からない」「必要書類が最新のものか不安」「予約が必要か分からない」といった手続面で戸惑う方が少なくありません。台湾籍喪失申請は帰化許可直前の重要な手続です。法務局と代表処の双方の案内を確認しながら、余裕を持って準備を進めることが大切です。

台湾内政部からの「国籍喪失許可証書」の発行にかかる期間

代表処で受け付けられた申請は、台湾本国の「内政部」へと送られ、そこで正式に審査・許可されます。内政部での審査を経て、「国籍喪失許可証書」が発行されるまでには、通常数ヶ月の期間を要します。

実際の証明書・通知書のイメージ

台湾内政部から許可が下りると、以下のような公文書(通知書および許可証書)が代表処経由、または申請者本人へ届きます。

国籍喪失許可証明書(記載例)

台湾戸籍転出登録番号:6****

国籍を喪失した人:(氏名)性別:男性生年月日:19xxxxxx出生地:台湾省xx住所:台灣省xxxxxxxx

中華民国国籍法に基づいて中華民国の国籍喪失の法的条件を満たしています。よってこの証明書が許可され、発行されました。

内政部部長 ***

内政部からの通知書(記載例)

件名:xx氏の国籍喪失申請は、国籍法第11条第1項第3款の関連規定に即しており、許可されるべきである。ご査収ください。

本文:申請者に受取を連絡してください。提出した戸籍抹消申請書は、戸籍法第24条及び第62条の規定に従って、xx県政府及びxxxxx事務所に送付され、受理されました。

この通知が届くことで、台湾本国の戸籍からも正式に除籍(抹消)されたことになります。

法務局への「追加書類」の提出とパスポートの任意提出

台湾内政部から無事に「国籍喪失許可証書」が届いたら、次は日本の法務局へその報告と書類の提出を行います。この際、法務局から「事務連絡(国籍喪失許可証及び和訳提出要請)」という公文書が届くか、あるいは口頭で指示があります。

提出を求められる主な書類

  1. 中国(台湾)国籍喪失許可証、およびその和訳(各1通)

台湾から届いた上記証明書の原本と、ご自身または専門家が翻訳した日本語の翻訳文です。

  1. 中国(台湾)護照(パスポート)

現在所有している台湾のパスポートです。「お手元にあるものすべて(過去の古いものも含め全冊)」の提出を求められるのが一般的です。

  1. 護照提出書(1通)

パスポートを法務局へ提出する際に、一緒に添付する承諾書のような書類です。

「護照提出書」とは?

「日本国への帰化申請にあたり護照(パスポート)を任意提出します」という旨を、法務大臣宛てに意思表明する公式な書類です。提出するパスポートの合計冊数(例:「計2冊」など)や、申請者の住所・氏名を署名して提出します。

台湾籍喪失後(帰化直前・直後)の生活における注意点

台湾籍を喪失してから、日本の官報に「帰化許可」が告示されるまでの間(数週間〜1ヶ月程度)、および帰化直後の生活では以下の点に注意が必要です。

台湾パスポートの失効と日本への渡航(入出国)のルール

台湾籍の喪失手続きを完了し、さらに法務局にパスポートを任意提出した後は、当然ながら台湾のパスポートを使って海外へ渡航することはできなくなります。

また、この段階ではまだ日本国籍(日本のパスポート)も未取得であるため、原則として日本からの出国や海外への旅行・出張はできません。急な用事でどうしても出国しなければならない事情ができた場合は、必ず事前に法務局の担当官へ相談してください。

台湾国内の資産(不動産・銀行口座)や親族関係への影響

台湾籍を失い日本人に帰化しても、台湾にいるご家族との身分関係(親子であることなど)が法律上消滅するわけではありません。ただし、台湾国内に不動産や銀行口座、有価証券などの資産を保有している場合、国籍が「中華民国籍」から「日本籍」へと変わるため、将来的な相続手続きや名義変更の際に、「かつて台湾人だった〇〇と、現在の日本人である〇〇は同一人物である」という証明(一連の戸籍謄本や日本の閉鎖外国人登録原票など)が必要になるケースがあります。帰化後も、台湾の古い戸籍の控えなどは大切に保管しておくことをお勧めします。

よくある質問:台湾籍を喪失した後に万が一帰化が不許可になったらどうなる?

Q. 台湾籍を抜けた後に、日本の帰化が不許可になることはありますか?

A. 理論上は「無国籍」になるリスクがありますが、実務上は極めて例外的です。

前述の通り、法務局の指示より前に勝手に独断で台湾籍を抜けてしまうと、不許可になった際に無国籍になってしまいます。

しかし、法務局が「台湾籍を抜いてください」と指示を出してくるのは、「最終審査のかなり後半で、帰化許可の見込みがほぼ100%立った段階」です。そのため、法務局の指示通りに手続きを進めたのであれば、その後に改めて重大な嘘や犯罪、大きな情勢の変化などが発覚しない限り、不許可になるケースは極めて例外的(実務上はほぼ無い)と考えられています。どうぞ安心して法務局の指示に従ってください。

Q. 万が一、本当に無国籍になってしまったらどうなりますか?

A. 直ちに日本から強制退去になるわけではありませんが、個別の救済措置措置が必要です。

万が一、想定外の事態で無国籍状態になってしまった場合でも、すぐに日本から追い出されるようなことはありません。在留資格や身分関係について、法務局や出入国在留管理庁と個別に対応を協議することになります。

また、台湾の法律(中華民国国籍法)には、過去に台湾籍を喪失した人に対して、一定の条件のもとで国籍を再び取得できる「国籍回復制度」も用意されています。※台湾の「国籍回復制度(回復國籍)」とは、一度失った中華民国(台湾)国籍を再び取得できる制度

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まとめ:台湾人の帰化申請をスムーズに進める最大のポイント

台湾籍の方の帰化申請において、最も大きな山場となるのがこの「国籍喪失手続き」です。ポイントを改めてまとめます。

法務局から正式な指示がある前に、絶対に独断で台湾籍喪失申請をしないこと

・台湾内政部から「国籍喪失許可証書」が届いたら、速やかに翻訳して法務局へ提出すること

・手続き期間中(パスポート提出中)は、原則として海外渡航ができない点に注意すること

当事務所(プロ・ステータス国際行政書士事務所 / 東京帰化プロ.com)では、台湾籍の方の帰化申請を多数サポートしてきた実績がございます。台湾本国からの書類相談や、法務局から急に求められる「追加書類」「翻訳」の対応もお任せいただけます。※翻訳は適宜お見積りとさせていただく事があります。

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「監修:行政書士 五十嵐 博幸」

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代表社員 五十嵐 博幸

  • 申請取次行政書士(登録番号16081232)
  • 特定社会保険労務士(登録番号13140526)
  • 労働者派遣元責任者講習講師
  • 外国人技能実習法定講習講師
  • 外国人技能実習監理団体 外部監査人
  • 新宿区主催ワークライフ・バランス推進セミナー講師(2024年/2025年)
  • 2016年 帰化申請・在留資格プロ・ステータス国際行政書士事務所 設立
  • 2019年 社会保険労務士法人Pro Status 設立

 

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