ネパール人は帰化申請できる?
結論からいうと、ネパール人でも日本への帰化申請は可能です。実際に毎年多くのネパール人が帰化許可を受け、日本国籍を取得しています。
ただし、帰化は申請すれば必ず認められるものではありません。国籍法で定められた要件を満たしているかどうかが審査されます。
また、ネパール人の場合は、日本での生活状況だけでなく、本国で発行される各種証明書の提出も必要になるため、早めの準備が重要です。
「永住権」と「帰化」のどちらを選ぶべき?
日本に長く住んでいるネパール人の方からよくいただくのが、「永住ビザ(永住権)をとるのと、帰化して日本国籍をとるのでは何が違うの?」というご質問です。どちらも「日本にずっと住める」という点では似ていますが、法的な立場は大きく異なります。
- 永住権:ネパール国籍のまま、日本の在留期限が無期限になる(外国人として日本に暮らす)
- 帰化:ネパール国籍を離脱し、日本国籍を取得する(日本人になる)
帰化が認められると、在留カードの更新手続きや就労の制限がなくなるだけでなく、日本のパスポートを所持して海外へビザなしで渡航できるようになり、選挙権の獲得や住宅ローンの社会的信用など、日本人と完全に同じ権利を得ることができます。
「子どもが日本で生まれ育ち、将来もずっと日本人として生きていきたい」「就労ビザの更新や転職のたびに手続きをするストレスから解放されたい」というネパール人の方には、永住権ではなく「帰化」という選択肢が強く選ばれています。
ネパール人が帰化するメリット
ネパール人の方が日本国籍を取得(帰化)することには、生活や将来において非常に多くのメリットがあります。主に挙げられる4つのメリットをご紹介します。
1在留資格(ビザ)の手続きが一切不要になる▾
定期的なビザの更新手続きや、転職時の所属機関の届出といった入管向けの面倒な手続きから完全に解放されます。もちろん、不許可になって日本にいられなくなるリスクもゼロになります。
2就労の制限がなくなり、職業の選択肢が広がる▾
「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザでは認められていなかった、単純作業を伴う業務や現場職、あるいは副業なども自由に行えるようになります。また、日本の公務員(一部職種を除く)として働く道も開かれます。
3日本のパスポートで世界各国へビザなし渡航ができる▾
日本のパスポートは世界最高峰の信用度を誇ります。ネパール国籍の時は事前のビザ取得が大変だったヨーロッパ(シェンゲン協定国)やアメリカ、アジア各国の多くへ、観光目的であればビザなし(または電子渡航認証等)でスムーズに渡航できるようになります。
4社会的信用が高まり、ローンや契約が組みやすくなる▾
日本国籍を持つことで、住宅ローンや自動車ローン、起業時の銀行融資などの審査において、日本人とまったく同じ基準で評価されるようになります。金利の優遇を受けやすくなるなど、日本での生活基盤を固める上で大きな強みとなります。
このように、帰化は単に「日本に住み続けられる」だけでなく、日本での生活の自由度と安定性を劇的に高めることができるという大きなメリットがあります。
ネパール人の帰化申請に必要な条件
住所・在留期間の条件
帰化が認められるためには、原則として「引き続き5年以上日本に住所を有していること」が法律上の条件となっています。しかし、2026年4月からの新しい審査基準(運用見直し)により、現在は「通算で10年以上の在留実績」が厳しく重視されるようになりました。単に日本に長くいるだけでなく、その期間の「中身」が細かくチェックされます。
1就労ビザの期間▾
留学生から就職したケースの場合、10年の在留のうち就労ビザ(技人国など)に切り替わってから「引き続き3年以上」働いていることが一般的な目安となります。
2出国の頻度▾
「引き続き」日本に住んでいるとみなされるためには、出国の頻度に注意が必要です。1回の出国で「90日以上」、または1年間で「通算150日以上」日本を離れた場合、それまでの在留期間がリセットされ、カウントがゼロに戻ってしまう可能性が高くなります(ネパールへの長期の里帰りや、会社での長期の海外出張・研修がある方は特に注意が必要です)。
収入・生計の条件
日本で安定的かつ自立して暮らしていける証明が必要です(生計要件)。これは申請者本人だけでなく、同居する家族(世帯)全体の収入で判断されます。
1年収の目安▾
会社員の場合、単身(独身)であれば世帯年収300万円前後がひとつの目安となります。扶養家族(妻や子ども)がいる場合は、1人増えるごとに必要な年収の目安も上がります。
2転職直後のリスク▾
転職自体はマイナスになりませんが、現在の会社に入社して数ヶ月しか経っていない時期は、収入の継続性や安定性が証明しにくいため不許可リスクが高まります。
3コロナ特例貸付の罠▾
コロナ禍において「緊急小口資金」や「総合支援資金」などの特例貸付(緊急特別支援金)を利用した場合、現在も返済中であれば、滞納がないことはもちろん、法務局へ詳細を正しく説明できなければ生計要件でマイナス評価を受けます。
素行・納税の条件
「素行が善良であること(素行要件)」として、日本の法律や社会ルールをしっかり守っているかが過去に遡って厳しく審査されます。ネパール人の方が最も不許可になりやすい最重要ポイントです。
1住民税・所得税の過去5年分の全履歴【※新基準で厳格化】▾
2026年4月の新基準移行にともない、税金のチェック期間が大幅に伸びました。現在は過去5年間にわたり「1日も支払いの遅れ(期限後納付)がないか」をみられます。会社の給与引き(特別徴収)ではなく、自分で納付書で払う(普通徴収)時期があった方は、うっかり1日でも納付期限を過ぎているとそれだけで不許可原因になります。
2年金・健康保険の過去2年分の全履歴▾
厚生年金・国民年金、および健康保険料について、直近2年間すべての期間において「1日も支払いの遅れがないか」チェックされます。転職時の空白期間の未納や、家族(配偶者)の国民年金の切り替え漏れがないか確認が必要です。
3適正な扶養(節税・送金証明)▾
税金を安くするために、ネパールの両親や親族を過剰に扶養に入れているケースは厳しく審査されます。扶養に入れている人数分の「正規の海外送金証明書」が過去の分まで揃わない場合、不適正な扶養(脱税行為)とみなされ不許可になります。
4同居家族(家族滞在)のオーバーワーク▾
妻や子どもが「週28時間」を超えてアルバイトをしている場合、明白な法律違反となり、扶養者であるあなたの監督責任(素行)が問われ一発不許可のリスクが生じます。また、ダブルワークによる確定申告漏れ(税法違反)も厳禁です。
5交通違反▾
過去5年間の運転免許の違反履歴(ゴールド免許かどうか、軽微な違反が数回以内かなど)が確認されます。
日本語能力の条件
日本国民として社会生活を送るために必要な日本語能力があるかどうかが審査されます。
1目安のレベル▾
日本の小学校3年生程度以上の読み書き・聞き取り・会話能力が求められます。日本語能力試験(JLPT)でいうと「N3〜N4」程度がひとつの目安です。
2動機書の自筆▾
なぜ日本に帰化したいのかを綴る「帰化動機書」は、原則として申請者本人がひらがな・カタカナ・漢字を交えて手書きで作成しなければなりません(パソコン作成や他人の代筆は不可)。
3面接時のテスト▾
法務局での担当官との面接はすべて日本語で行われます。その際、簡単な日本語の筆記テスト(小学校低学年レベルの漢字の読み書きや、簡単な読解問題)が実施されるケースが増えています。
国籍離脱の条件
日本は原則として二重国籍を認めていないため、帰化が許可された場合は「元の国籍(ネパール国籍)を離脱すること」が条件となります(喪失要件)。
1手続きのタイミング▾
ネパール人の場合、日本の法務局へ帰化申請をしている最中ではなく、「日本への帰化が法務大臣に許可された後」にネパール国籍の離脱(喪失)手続きを行います。
2国籍離脱の流れ▾
官報に名前が乗り、日本への帰化が正式に許可された後、在日ネパール大使館(東京・目黒など)へ出向いて国籍離脱届の手続きを申請します。ネパール政府から国籍離脱が承認されたら、法務局へその証明書を提出することで、一連の帰化手続きがすべて完了します。
必要書類
ネパール人の帰化申請では、日本での在留年数だけでなく、真面目に働いて納税しているか、日本の法律やルールを守っているかなど、日本社会の一員として安定して暮らしていけるかどうかが総合的にチェックされます。そのため、日本国内・ネパール本国の両方から、多岐にわたる書類を集める必要があります。
日本で取得する書類
帰化申請で日本側から集める書類は、申請者の仕事、家族構成、資産状況などによって多岐にわたります。会社員(就労ビザ)の方が一般的に必要となる主な書類は以下の通りです。
①役所・法務局で取得する書類(世帯全員分)▾
- 住民票の写し(マイナンバー記載なし、世帯全員分・在留資格等記載ありのもの)
- 土地・建物の登記事項証明書(自宅や不動産を所有している場合)
②税金に関する証明書(過去3年〜5年分)▾
- 住民税の「課税・非課税証明書」および「納税証明書」(新基準に対応するため過去5年分を求められるケースが増えています)
- 源泉徴収票(直近の勤務先および前職の分)
- 確定申告書の控え、納税証明書(副業やダブルワーク、修正申告がある場合)
③年金・健康保険に関する証明書(過去2年分)▾
- ねんきん定期便(直近のもの)または「被保険者記録照会回答票」
- 国民年金保険料の領収書の写し(給与天引きでない期間がある場合)
- 健康保険証のコピー(世帯全員分)
④運転・交通違反に関する書類▾
- 運転記録証明書(過去5年分の全履歴。自動車やバイクを運転する方のみ)
⑤勤務先(会社)から取得する書類▾
- 在職証明書(会社に作成してもらうもの)
- 給与明細書(直近数ヶ月分)および賞与明細書
⑥資産・その他に関する書類▾
- 預貯金通帳の全ページのコピー(世帯で保有するすべての通帳)
- 自宅の賃貸借契約書のコピー(賃貸マンション等の場合)
- スナップ写真(家族や同僚と写っているもの、数枚)
ネパールで取得する書類
ネパール人の帰化申請において、最も時間と手間がかかるのが本国(ネパール)の書類集めです。すべての書類について、ネパール語(または英語)から日本語への翻訳(翻訳者の署名・捺印付き)が必須となります。
①出生証明書(Birth Certificate)▾
申請者本人、および日本に同居している兄弟姉妹などの出生を証明するものです。原則として、生まれた地域の役所(VDC/Ward Office)が発行したものを揃えます。
②親族関係証明書(Relationship Certificate)▾
申請者本人と、ネパールにいる両親、兄弟姉妹との関係を証明する非常に重要な書類です。こちらも現地のWard Office等で取得します。
③結婚証明書(Marriage Certificate)▾
既婚の方(ネパールで結婚した、または日本で結婚してネパール側に報告している場合)に必要です。
④家族の身分証明書・その他の写し▾
- ネパールの身分証明書(Citizenship Certificate)のコピー
- ネパール旅券(パスポート)のコピー(現在使用しているものだけでなく、失効した古いパスポートも来日からの全期間分が必要です。更新等で手元にない場合は理由書や入出国記録の提出が必要になります)
- ネパールの家族の国籍や生死を証明する各種書類(ケースによる)
ネパールの地方自治体の運用によっては、証明書の記載内容(名前のスペルや生年月日)が、日本の在留カードやパスポートの記載と微妙にズレているケースが頻発します。不一致があると法務局に受け付けてもらえないため、取得後の入念なチェックが必要です。
必要書類の詳細はこちら
ネパール人の方の状況(独身、既婚、転職回数、家族を帯同するかどうかなど)によって、実際に法務局から指示される必要書類の組み合わせは1人ひとり全く異なります。また、ネパール本国の書類は取得手順や記載ミスへの対策が非常に複雑です。
当事務所では、それぞれのケースに合わせてカスタマイズした「オーダーメイドの必要書類リスト」を作成し、日本での書類収集からネパール書類の翻訳・チェックまで一気通貫でサポートしています。
さらに詳しい書類の集め方や、本国書類の不一致トラブルへの対策については、下記の専用ページでさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
ネパール人の帰化申請の流れ
ネパール人の方が日本国籍を取得するまでの大まかなステップは、以下の4つのフェーズに分かれます。準備を始めてから最終的に日本の戸籍が作られるまで、トータルで約1年〜1年半(審査期間だけでも8ヶ月〜1年程度)の長い期間がかかるため、全体の流れをあらかじめ把握しておくことが大切です。
法務局への相談
帰化申請は、入国管理局ではなく、自分の住んでいる場所を管轄する「法務局(または地方法務局)」の手続きとなります。
1事前予約と訪問▾
いきなり書類を持って行っても受け付けてもらえません。まずは法務局に電話などで「帰化相談の予約」をとります。
2担当官によるヒアリング▾
初回の相談では、法務局の担当官からこれまでの在留経歴、仕事内容、収入、家族構成、税金や年金の支払い状況、交通違反の有無などが細かくインタビューされます。
3必要書類の指示▾
条件をクリアしていると判断されると、あなたのケースに合わせた「必要書類の一覧表(指示書)」が手渡されます。
書類収集・申請
法務局から指示された膨大な書類を、日本とネパールの両国から集める最も大変なステップです。
1書類の収集と翻訳▾
日本の役所や会社から書類を集めると同時に、ネパールの家族に協力してもらい現地の役所(Ward Office等)から出生証明書や親族関係証明書などを取り寄せます。外国語の書類はすべて日本語への翻訳が必要です。
2申請書類の作成▾
帰化申請書、親族の概要、生計の概要、履歴書など、法務局指定のフォーマットに正確に記入します。動機書の手書きもこのタイミングで行います。
3本受付(申請)▾
すべての書類が完璧に揃ったら、再度法務局を予約して書類を提出します。不備がなければここでようやく「申請受理(本受付)」となり、本格的な審査がスタートします。
面接・審査
申請が受理されてから約3ヶ月〜4ヶ月後に、法務局から「面接」の連絡が入ります。
1法務局での面接▾
面接は通常、法務局の担当官と申請者本人との1対1で行われます。面接時間は30分から1時間程度が一般的ですが、申請内容によってはさらに長くなる場合もあります。
面接では、提出した書類の内容に誤りや矛盾がないかを確認するとともに、日本での生活状況や帰化の意思について質問されます。主な質問内容としては、以下のようなものがあります。
- 日本へ来日した経緯
- 現在の仕事や収入状況
- 家族構成や親族関係
- 日本での生活状況
また、日本語能力の確認が行われることもあります。特別に難しい試験ではありませんが、日本語での受け答えができる程度の能力は求められます。
面接では、正直かつ一貫性のある回答をすることが重要です。提出書類と異なる説明をしてしまうと、追加資料の提出を求められたり、審査が長引いたりする可能性があります。
2面接後の追加資料対応▾
面接が終了した後も審査は継続され、必要に応じて追加資料の提出を求められる場合があります。
- 納税や年金の加入状況
- 帰化を希望する理由
- 今後の生活設計
技術・人文知識・国際業務ビザからの帰化
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザで日本に在留しているネパール人の方の中には、将来的に日本国籍を取得したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、技人国ビザで在留している方でも帰化申請は可能です。実際に、帰化許可を受けるネパール人の多くが会社員として働いており、技人国ビザから帰化を実現しています。
ただし、帰化申請では在留資格の種類だけでなく、日本での生活状況や勤務状況、納税状況などが総合的に審査されます。そのため、事前に帰化の要件を理解し、適切な準備を進めることが重要です。
技人国ビザでも帰化は可能
技術・人文知識・国際業務ビザは、日本で専門的な知識や技術を活かして働く外国人のための在留資格です。エンジニア、通訳・翻訳、貿易業務、経理、人事、マーケティングなど、さまざまな職種のネパール人がこの在留資格で働いています。
帰化申請においては、技人国ビザであること自体が不利になることはありません。むしろ、安定した雇用や継続的な収入があることは、帰化審査においてプラスに評価される要素の一つです。そのため、一定期間日本で継続して就労し、収入や納税状況に問題がなければ、技人国ビザからの帰化は十分に可能です。
審査で注意すべきポイント
技人国ビザから帰化を目指す場合、特に次のような点が審査で重視されます。
安定した収入があるか
帰化申請では、継続的に生活できる経済基盤があるかどうかが確認されます。年収だけで判断されるわけではありませんが、毎月安定した給与を得ていることが重要です。
納税・社会保険の状況
住民税や所得税の滞納がないことはもちろん、健康保険や年金についても適切に加入・納付していることが求められます。近年は特に年金の納付状況が厳しく確認される傾向があります。
転職回数が多すぎないか
転職自体は問題ありませんが、短期間で何度も転職を繰り返している場合は、生活の安定性について確認されることがあります。転職した場合は、職歴や転職理由を説明できるようにしておくことが大切です。
在留資格違反がないか
資格外活動や不法就労などの在留資格違反があると、帰化審査に大きな影響を与える可能性があります。また、更新手続きを忘れていた場合なども確認されるため、在留資格の管理には十分注意しましょう。
技人国ビザの帰化について詳しくはこちら
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザをお持ちのネパール人の方が帰化申請をする際の、より詳しい条件や個別の注意点については、下記の解説ページをご覧ください。
東京帰化プロ.comは{4つのメリット}
ネパール人の帰化申請は専門行政書士へご相談ください
ネパール人の帰化申請では、本国書類の収集や国籍離脱手続きなど、日本人の申請とは異なる注意点が数多くあります。当事務所では、事前の可能性診断から申請書類の作成、法務局対応までトータルでサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。





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